料理長と主人が試行錯誤を重ねる「ポンポン鍋」

2011.11.19

湯上がり。この宿の夕食は部屋ではなく食事処でとる。いよいよ問題の串カツである。とはいえ、まさか夕食が串カツだけなんてことはない。豊富な山の幸を使った地物料理が懐石仕立てで供される。例えばお造りも多くが、鱒や岩魚、山女などの川魚。冬なら野生の猪、夏なら鮎、焼き物も総じて山里の幸。そんな中で宿一番の名物が「ポンポン鍋」、いってみればお座敷串カツである。コンロに掛けられた特注の鍋には数種をブレンドした植物油が張られ、黄金色に淡く輝いている。

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その中で串に刺しパン粉を纏った鶏肉、高麗人参、リンゴなどを揚げながら食べる趣向。初めてこの料理を出された時は、日本旅館で串カツ、というイメージギャップに戸惑ったが、今ではこれを楽しみに通い詰めている。ソースっぽいタレ、醤油風味のタレ、塩、と用意された中から好みで選んで付ける。揚げる素材も行く度に新作が生まれ、タレも常に改良されている。若主人が料理長を連れて、大阪、京都、名だたる串カツの名店を行脚した成果である。名物だけに頼らず、客の喜ぶ料理をとことん追求しようと、常に勉強を怠らない。この宿もまた、暖簾を守りながら育てているのだ。ポンポン鍋、その始まりは狸の肉。かつてこの地では鍋にして、よく食べられていた狸の肉を、何か変わった食べ方はないかと、先代がフライにして食べたところ大層旨かったので、それを宿の料理として出しだのが始まり、狸だからポンポン。その後、狸が激減し、揚げる素材は変わったが、揚げている最中にポンポンと小さな音を出すから名前はそのままになっている。





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